災害時にも活用可能 運べる宿泊施設

 サイズや内装など規格化されたコンテナを工場生産し、現地で組み立てる方式の“建築用コンテナ”を用いた「コンテナホテル」が日本各地に出現しています。

 コンテナホテル業界の大手メーカー「株式会社デベロップ」のケースを例に、コンテナホテルの現状をお伝えしたいと思います。
2018年、栃木県に最初のコンテナホテルをオープンして以来、「HOTEL R9 The Yard」(ホテル アールナイン ザ ヤード、以下:R9)のブランドで全国展開しており、2024年時点で93拠点、3290室に達しています。

 メインターゲットを“ビジネスで車を使う宿泊者”に据えており、高速インターの近くや工業団地そばといった車でのアクセスが活発な場所がR9にとっての好立地となっており、従来のビジネスホテルにとって好立地といわれてきた“街ナカ”“駅チカ”を避け、郊外の交通量の多い幹線道路沿いで展開されています。

 コンテナが客室として並ぶほか、フロント機能を持つコンテナ以外、ロビーやレストラン、大浴場といったビジホでお馴染みの付帯設備はありません。そう聞くと無機質で殺風景な印象を受けますが、全客室にユニットバスはもちろん、冷凍庫付き冷蔵庫に電子レンジ、空気清浄機が設置され、約8割の客室にはマッサージチェアが完備という基本的設備は一般的なビジネスホテルに引けを取らない充実ぶりです。またベッドは、「ペニンシュラ」や「帝国ホテル」などと同じ「シモンズ」を採用。このクラスのホテルにこのクオリティーは珍しいとのこと。

 開業1年を経過した「R9前橋」の客室稼働率は80%、リピート率は40%以上と高水準をキープ。現在のところ、全拠点の3割強が茨城・栃木・群馬の北関東3県に集中していますが、2030年までに200拠点、1万室を目指しているそうです。

 普段はお客様をお迎えしているコンテナホテルですが、トレーラー(台車)に乗せてけん引するという移動のしやすさを生かし、災害時などの際には「レスキューホテル」として災害時の避難所や被災地の仮設住宅、ボランティアらの宿泊所、診察室などとして利用が可能。35都府県、155の自治体と災害協定を締結しているそうです。コロナ禍の折りには、東京や九州までPCR検査施設として出動した実績もあるとのこと。
コンテナホテルの可能性は計り知れないかもしれません。

※参考:
 デベロップ

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